(4) 教育、変わらなきゃ
さて、これから望まれる医者のあり方がこのように根本的に変わろうとしている今、その医者を育てる医学教育も変わらなければならないのは誰にでもわかることです。かつては、医学教育には「医学という自然科学をいかに人に対して応用するか?」という理系研究者の視点が根底に流れていました。つまり、講義で教わった医学知識を正確に患者に適応し、病気が治癒すれば医者の仕事はおしまいというわけです。
このような視点に立つ医学教育では、「正しい医療を提供し、コストもなるべくかからない、対応の良い医者」「患者さんの気持ちや生活環境を踏まえた上で病気に対してアプローチし、最善の生活を患者さんに送ってもらうおうと考える医者」を作り出すのは不可能でしょう。教える側の先生方はそのような視点からの教育は受けておられず、たとえ実地でそれを実践されている方がいても、教育となるとそれを前面に出して語ろうとはされません。
ここで医学教育の改革が必要となるのですが、新制度を使いこなしていく学生側の意識がこれまでと同じく受け身ならば、「新制度はあれども中身は旧態依然のまま」という状況になりかねません。そのためには、まだ制度が本格的に導入される前のこの時期に、学生の側から能動的に「勉強しよう」と動くべきではないでしょうか?そうすれば、新制度が学生にとって本当に役立つものとなるはずです。
(5) 運命を変えるのは今
もちろん「医者になってから勉強すればよいのでは?」という意見もあるでしょう。しかし、大学時代の教育がお粗末な分、研修医となってからは何かと覚えることが多くて、「正しい医療を提供し、コストもなるべくかからない、対応の良い医者」「患者さんの気持ちや生活環境を踏まえた上で病気に対してアプローチし、最善の生活を患者さんに送ってもらうおうと考える医者」を目指そうとする姿勢を保つのはかなり難しいことでしょう。また、そういう医師像を描いて実践している指導者にめぐり逢うとは限りません。
それに加えて、「医師としての毎日の中で自然と身に付くのでは?」という意見もあるでしょう。もちろんそういう可能性もあるとは思います。ただ、ポリクリ(大学病院での臨床実習)で見る多くの医師の中には、あまりいないように思われます。たとえ、「僕は患者さん第一で動いている」と語る医師でも単なる自己満足にすぎないことも多いらしいです。
やはり、自分の好きなように動ける学生の時にその土台を作っておいて、医者としての実践の中で磨きをかけていくというのがベストでしょう。
(6) さあ、勉強しよう!
そこで、僕らはこのような医者を目指すためには、それを意識した勉強を学生時代に自主的に実行する必要があるという結論に至りました。そういう勉強を突然始めることには、もちろん不安があるとは思いますが、目標とする勉強をできず不本意な状態で医者になっていく不安に比べれば小さなものではないでしょうか。
しかし、その勉強を実現するには、一体どのような勉強をすればよいのか、そして、従来の講義と試験にどのように対処しながら勉強を進めていけばいいのかという切実な問題が当然浮かび上がってきます。それに対する具体的な解決策を、僕らなりに考えてみました。それが、「医学習得の2つの軸」です。
|