後輩へのメッセージ

1. はじめに

 僕は、もうすぐ6回生になろうとしています。そこで、今までの自分を 振り返ってみて、医学部の中でどう勉強していけばいいのかを少し述べてみたいと思います。も ちろん、自分の経験からしか述べることができないので、多少の偏りはあると思いますがご容赦 ください。

2. 勉強の仕方

 まず、試行錯誤を恐れないで下さい。勉強に王道などありません。それぞれにあった方法を自分 自身で見つけていかなければなりません。そのためには失敗すること、無駄をすることを恐れて いてはいけません。周りを見ていると、「与えられたことをこなす」能力は抜群にあるけれども、 与えられなければ何をしていいのかわからない、という人が少なくないように思えます。

 現在、京大医学部では2〜4回生まで知識の伝達の方法はほぼ「講義」しかありません。しかし、 医学・医療に関する知識が膨大に増えていく現代において、すべてを講義で網羅することは事実上 不可能です。そこで重要になってくるのは「自分で問題をみつけ、適切な情報源にあたり、得られ た情報を整理する能力」だと思います。

3. 具体的な方法 ケーススタディを例に

 ここでは特に臨床医学について述べます。まず、患者が病院に来る時、どういう訴えをもってくる のか。当然、「最近咳が止まらない」「熱が出た」という訴えをもってきます。決して「細菌性肺 炎」だとか「逆流性食道炎」といった疾患名をもってはきません。(ただし、大学病院において紹 介患者が多数占める場合は、すでに診断がほぼ明らかになっているケースも少なくありませんが。)

 目の前の患者のもってきた「訴え」からどのような情報を抽出し、そこからどのような疾患を考え、 またそれに基づいてどのような検査をオーダーし、さらには患者は何を望んでいるかを見極めた上で 治療をしていかなければなりません。従来の疾患からのアプローチは現実の医療現場を考えると順序 が逆なのです。

 そこで、ケーススタディという学習法があります。ここではまず患者の「訴え」があります。そして 上記のような順で思考が進んでいきます。現実の医療現場をシミュレートしており、考え方のプロセス を重視しています。一度やり方を身につければ応用範囲は非常に広く、なにより具体的な「患者」を 想定してあるので記憶にも残りやすいのです。 もちろん、ケーススタディでなければダメだということではありません。最近、ケーススタディは ちょっとした「流行り」になっている気がしますが、あくまでケーススタディは「手段であって目的 ではない」ということを覚えておいて下さい。

 もちろん、ケーススタディだけでも網羅することはで きません。やはりある程度は教科書を読んで足りないところをつぶしていくという作業は必要となっ てきます。

 ケーススタディで重要なのは、答えを覚えることではありません。テキストには症例ごとに結末が 一応述べられていますが、それを覚えても意味がありません。その症例ではたまたまそうだったと いうことです。そこまで行きつくプロセス、考え方を身につけることが大切なのです。

 大学の講義でも「問題解決型」と銘打ったものが出てきましたが、必ずしもプロセスが重視されてい るとは思えない、似て非なるもののことがあり注意が必要です。

 最近ではホームページやメーリングリストなどインターネットを使ったケーススタディも盛んに行わ れるようになっています。より具体的な例はそちらを参考にしてください。(文末にご紹介します。)

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